第12章 新しい人生
「…」
私はセバスチャンの手を振りほどいた。
「帰り…ます…。」
立ち上がり、そう言った。
「それでは」
「おいセバスチャン!どこだ!」
廊下から怒鳴り声が聞こえた。
「はぁ…もうギブアップ…ですか…。」
「…?」
「あなたも、一緒に坊ちゃんのところへ行きませんか?」
「い、いえ…もう帰るので…。」
「そうおっしゃらず。」
セバスチャンが微笑んだ。その笑顔には勝てる気がしない。
私もついて行くことになった。
「坊ちゃん。」
「セバスチャン、お前…。…ナツキ…なんでここに…。」
「あっ…お、お邪魔…してます…。」
「それは別にかまわないが…。」
「それより坊ちゃん、どうなさいましたか?」
「…!あぁ…お前、あの量の仕事、今日中に終わらせろ。なんて無理に決まってるだろ!」
「坊ちゃんが溜めていたお仕事ではありませんか。」
「っ…。」
修羅場…?
「…」
あのあと、こっそりお屋敷を抜け出し、葬儀屋に戻った。
「おや、早かったんだねぇ〜。」
「っ…あ、アンダーテイカー、く、臭い…。」
キツイ匂いが葬儀屋全体に広がっている。
「さ、できた。」
「…何…それ…?」
「魂。3日くらいかかる。って言ったけど、本当は少しだけ修正すればもう完成なんだよね。今のナツキが持っている魂は、いろいろ面倒だったから時間がかかっちゃったけど…。」
「…?」
アンダーテイカーが何を言ってるのかわからなかった。
「この記憶は何もいじってないから、戻ったら君は、朝目覚めたのと同じ感覚になるよ〜?でも、また小生と遊んでくれるかい?」
「…う、うん…?」