第1章 空に溶ける
ごめんなさい。
危ない事はするなって、あなたに言われてたのにね。
頭で考えるより先に、体が動いちゃったの。
そうだ、あの簪って、意味…ううん、やっぱりいいわ。だってもう、必要なくなっちゃったもの。
ねぇ、もしいつか、平和な世界になったら、またあなたに会いたいな。
そしたら、一緒にいろいろな所へ行きたい。
私、いつも待ってるばかりだったんだもん。
だから、だからね、待つの慣れてるから、ゆっくり来てね。嫌味じゃないのよ。
あなたがやりたい事、全部やりきってから来てね。おじいちゃんになっているあなたの、肩もんであげるから。
あぁ、空が綺麗。このまま空に溶けていけるかしら。そしたらあなたがどこにいても、雲の隙間から光で照す事が出来るのに。
誰よりも危険で、誰よりも繊細なあなた。
ねぇ、私の事、忘れないでね。