第42章 灰かぶり姫の王子様-シンデレラ-❤︎
「愛してる、詩遠」
とても甘く、優しい声。もしかしたら私はこの手で彼に敵うのは難しいようだ。
「世界中の誰よりも」
お前のことを愛してる────……
「(幸せ者だ、私は…。)」
涙を浮かべて嬉しげに微笑んだ。
「さて詩遠さん」
「?」
「渡したい物があります」
睡魔が襲い始めた頃、一緒の布団で寝ていた隼人が楽しげに言った。
「手を出して頂けますか、お姫様」
「…はい」
何を渡されるのかドキドキしていたが、彼は私の掌に一つの小さなケースを置いた。
「これは?」
「開けてみて」
何やら含み笑いを浮かべている隼人を見つつ、私はゆっくりとケースの蓋を押し上げた。
「!」
中にはイヤリングが入っている。
「俺の誕生石のダイヤモンドと、お前の瞳の色に似たブルーダイヤモンドを合わせたイヤリング」
「これ…どうしたの?」
「お前が入ったばかりの頃、杙梛さんの店でイヤリングを見てただろ。後から俺がこっそり買いに行ったらもう売り切れだったんだよ。俺としてはその代わり」
「可愛い」
「だろ!」
「有難う、隼人」
「付けてみて」
「うん」
ダイヤモンドとブルーダイヤモンドを合わせたイヤリングを耳に付ける。
「…すっごく似合ってる!可愛い!綺麗!お前の為にあるようなものだな!」
「そ、それは褒め過ぎじゃ…」
「いいな。俺のものって感じがする」
隼人がイヤリングに、するりと触れる。
「ん……っ」
「ぴくってなった」
「急に触るから」
「そういう反応されるともっと触りたくなる」
「もう駄目です」
「えーさっきは触らせてくれたのに!たくさんキスしても嫌がらなかったのに!」
「……………」
「お前が塩対応なのは知ってるけどさ…触らせてくれないと愛が足りな過ぎて死ぬ」
「し、死ぬって…そんなわけ…」
「いーや!絶対に愛に飢えて死ぬ!お前が触っていいよ、抱きしめて寝てもいいよって言ってくれないと俺の心は死んでしまう」
「(愛で死ぬ人は見たことないけど…)」
「お前今、愛で死ぬ奴は見たことないとか思っただろ」
「!?」
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