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【黒執事】染まりゆく果実

第2章 黄緑色の外へ


「グレル・サトクリフ!
今の叫び声はなんです?…!この女性は!?」
黒髪に眼鏡をかけたスーツの男性が私に驚き、近づく。

「ウィル〜!会いに来てくれたのネ?♡」
グレルさんが男性に駆け寄りウィンクを飛ばしていた。

「…そんな事より、このニンゲンはなんです?
此処に死神以外の立ち入りは禁じられているのは、分かってるでしょう?」

「違うのよ、コイツ死亡予定者だってのに死んでないから、どうしていいか…とりあえず連れて来ちゃったのヨ!」

「その場合は連絡を取り、上からの命令を待つだけ。
まったく…あれほど報告・連絡・相談は欠かさずに、と言ったはずです。」
ウィル、という男性はため息をつき呆れているようだった。

「グレルさん…あの、この方は同じ死神の方ですか??」
「ンフ、そうよ。ウィルとは同期ってヤツなの…それはもう紅い糸で結ばれた運命…ッ愛し合う仲なのヨ〜♡」
体を拗らせながら興奮気味でいうグレルさんに私は引いてしまう。

「なに寝惚けたことを言っているんです、誤解されても困るので説明しましょう。

私は、ウィリアム・T・スピアーズと申します。
死神派遣協会管理課に属しており主に魂の審査、管理に勤めております。
入社時期が重なっただけで、勝手に恋人扱いされるのは実に不愉快で極まりない。」
言い切ると眼鏡をカチャッと掛け直す。

「ウィリアムさん、ご説明ありがとうござ」
私の言葉を遮るようにウィリアムさんは話し続けた。

「グレル・サトクリフ、このニンゲンはどう始末するんです?
上に報告させていただきます。此処にずっといられては、私の仕事が増え大変迷惑になる。」

「そ、そうネ。でも身寄りがなくなって記憶もないみたいだし、いきなり連れて行くのもなんだか気が引けるわネ…。」
グレルさんが私をチラリと見ながら、少し戸惑っている様子だった。

「まったく…私共の仕事を忘れたんですか?
貴方が出来ないのであれば、私が連れて行きましょう。」

「あのっ!さっきの人も上の人にって…私どこに連れて行かれるんですか?」

「…役職が様々あります。我々よりも優れた方の所へ行き、処分を言い渡します。今回は例外ですのでどんな結果になるかは、分かりません。」

「処分…?そんな、急に言われても!」

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