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【黒執事】染まりゆく果実

第3章 純白な乙女色


周りは暗く、星がキラキラと輝いていた。
遠くから街の明かりと男女の華やかな声が聞こえる。

「ここは…。」

「着いたわヨ、アンタの住んでた街に。」
「うそ!本当に…!?」
「まずは宿探しネ〜、行くとこなんて一つしかないケド。」
「ひとつ?当てがあるんですね。」

「まぁネ。で、アンタはいつまでアタシにくっつくつもり?」
着いた事に感動して私はずっとグレルさんの腰にくっついていた。

「あっ!ご、ごめんなさい!!」
男の人に抱きつくなんて、はしたない。私としたことが…。
恥ずかしく頬に両手を当てていると彼が歩き出す。

「ここに着くってことは…あっちネ。散々走り回ってヘトヘト、早くシャワー浴びたいワ。」
迷いなく歩き続けるグレルさんの後を
小走りで追いながら周りを見渡す。

見慣れてるような気もするけど、
ここに住んでるような懐かしい感じはしないなぁ…。

そこは大通りになっていてライトに照らされ、お店から笑い声や音楽が漏れている。
小綺麗に身だしなみを整えた男女がユラユラとすれ違う。

突然前を歩いていたグレルさんが立ち止まり、私は気付かずぶつかってしまう。

「わっ!いたた、すみません…!」
鼻を触りながら顔を見上げると大きな建物が私を迎えていた。

窓が沢山あり一つ一つが丁寧に形を変え、
掘られいて茜色と白が基調のとてもお洒落なお屋敷だった。

「大きい…!こんな素敵なお家見たことない!」

「気に入って頂けて嬉しいわ。」
正面の扉から出てきたのはグレルと似た髪色をしたボブヘアーの女性だった。

「お帰りなさい、グレル。来るなら一言、連絡くらい欲しかったわ。」
「急に決まった事だったのヨ。」

歩きながら入り口に入って行くグレルさんを眺めつつ、二人は仲がいいのか親近感のある会話が2、3度続いた。
「あら?ねぇ、キミ早くお入りなさい。ご飯は食べた?お腹すいてない?名前は?」
「あ、いや、私は…。」

「ギュルル…」
音がどこからか鳴り出す。

「あっ!ご、ごめんなさい!違うんです!」
その音の主は私のお腹からだった、ご飯というフレーズにそういえば自分が何も食べていなかったことに気づき根を上げてしまったようだ。

「アハハ、まずはお腹を満たさなきゃ話せないわよね!ねぇ!お食事の支度をお願いー!」

いくつかのメイドに指示するとこちらに来て、と奥の部屋に案内された。
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