第33章 我が儘(武田信玄) ※閲覧注意
信玄「なんの冗談だ?謙信?」
謙信「冗談ではない。
忍を上杉に差し出せ、
という意見が出ていると申したのだ」
信玄「ふざけるのも大概にしろよ」
謙信「ふざけてなどおらぬ、
我らの同盟は強固なものであると信ずるが、
残念ながら家臣の中には、
そうは思っておらぬものがおってな・・・
忍と上杉の人間との婚姻で、
その絆を示せという話だ・・・
まったく・・・」
信玄「お前それ了承したんじゃないだろうな?」
謙信「俺との婚姻は断ったが・・・
あとのは知らん」
信玄「おい」
謙信「お前の姉だ。
こんな形であってもほしい、
と思う男はいくらでもいるだろう。
渡したくないなら、
お前の信頼する男にでもさっさと嫁がせろ」
信玄「それができたら苦労はしてねーよ・・・」
信玄はそう忌々しそうにつぶやいた。