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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第31章 【ピーター・ペディグリュー】


 突然のスネイプの登場に、その場にいた全員が驚きと共に警戒体制を取った。スネイプは杖をルーピン先生に真っ直ぐ向け、薄気味悪い笑みを浮かべている。

「『暴れ柳』の下でこれを見付けてね」

 ルーピン先生に杖を突きつけたまま、スネイプは『透明マント』をこれ見よがしに持ち上げたかと思うと、足元に投げ捨てた。

「中々役にたったぞ、ポッター。今だけはお前に感謝しよう」

 スネイプはいつもの根暗な表情とは違い、興奮しているようだった。ルーピン先生を人質に取られ、クリスは動きたくても動けなかった。だがもしルーピン先生に傷1つつける事があれば、その時は死んでもスネイプに反撃してやると思った。クリスは密かに杖を握りしめた。

「この場にいる全員が、どうして我輩がここに居るか不思議に思っている事だろう」

 ニタリ、とスネイプは気味悪く笑った。それはまるで長きにわたった復讐を果たしたかのようだった。

「ルーピン、君の部屋に行ってみたよ。今夜例の薬を飲み忘れていた様だったからね。ゴブレットに入れて、君の部屋を訪ねたら、机の上に妙な地図があった……ひと目見てそれが何だか分かった。そして何が起こっているのかもすべて把握した」
「セブルス、君は何か誤解している」
「黙りたまえ――結局我輩の言う通りだったな。君が旧友のシリウス・ブラックを手引きしていると。校長に進言したが、校長は耳を貸さなかった。だがこれが証拠だ……しかし、流石の我輩もかつての古巣を隠れ家に使うとは思ってもみなかった」
「聞いてくれ、セブルス。誰もシリウスの手引きなんてしていないし、当然ハリーを殺しに来た訳でもない!」
「黙れと言っているんだ!この人狼風情がっ!!」

 スネイプが叫んだと同時に、杖から細い紐が蛇の様に噴き出し、ルーピン先生の口、手首、足首に巻きついて、先生はバランスを失って床に倒れた。次の瞬間、クリスは杖を振り上げた。それと同時にブラックがスネイプに襲い掛かったが、スネイプが杖をブラックの眉間に突き付けた方が速かった。万事休す、クリスは腕を振り上げたまま固まった。

「どうした?襲い掛かって来ないのか?」

 スネイプは口角を上げてそう言った。この状況が、さぞかし気に入ったように笑っている。いつものスネイプじゃない。クリスは急にスネイプが恐ろしく感じられた。
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