第3章 Declaration
「オールマイト先生!!」
広場ではオールマイト先生が戦っていた。脳味噌が見えている怪物のようなヴィランに腕を回しているが、その最中ワープゲートを操るあの靄のヴィランによって体が引き裂かれようとしている。緑谷くんが先生を助けるべく前のめりに走り寄る。しかし、その眼前にはワープゲートがあった。考えるより先に足が動く。怖い、怖いけど──助けなきゃ!
「綿世!」
轟くんの声も無視して靄のヴィランと緑谷くんに向け手から綿を放つ。大砲の如く放たれた綿はヴィランに命中する。緑谷くんに当たった綿はワープゲートを避けるように彼に尻餅をつかせた。
その直後──
「どけ!邪魔だデク!!」
大きな爆発と爆煙が巻き起こった。
爆豪くんが靄のヴィランに向かって飛び込んで爆破を食らわせたのだ。ヴィランに纏わりついた綿がチリチリと燃える。彼はヴィランを掴みその勢いのまま地面に押し伏せた。
足元から冷気を感じて視線を落とすと氷が地を伝い脳味噌ヴィランへ向かう。後ろに立つ轟くんがオールマイト先生を避けつつ敵だけを凍らせていた。
「テメェらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」
瞬時にオールマイト先生がヴィランの拘束から抜け出し私達の前に着地する。後からやってきた切島くんが手だらけのヴィランに攻撃をするも躱される。怒涛の応戦だ。しかし、オールマイト先生の横腹が血で染まっているのを見て冷や汗が滲む。
テレビの中のオールマイトがここまで血を流してたことなんてない。今回の敵はそれほどの相手ということ。
でも──!
「オールマイトは絶対負けない!!」
ヴィラン達を睨みつける。座り込んでいた緑谷くんも腕で目元を拭って立ち上がった。