第14章 告白と小さなお別れ
一方、花京院はというと……
「お〜い花京院。一緒にトランプでもしねえ?承太郎どこにもいなくてよお、何か聞いて__」
「ちょっと待ってくれッ!!今いいとこなんだからッ!」
「は?」
ポルナレフが気軽に部屋に訪れたが、それを一蹴するくらい、2人の会話に夢中になっていた。
(何か花京院の奴。俺には辛辣すぎやしねェか?)
"吊られた男"(ハングドマン)を倒した時は、共に苦戦を乗り越えた仲間みたいな空気が出せた。
妹の敵を追う一心で、敵の策略にハマりつつあった時、花京院の頭の回転の速さと斬新なアイデアで、危機を乗り越えられた。
『我が名は花京院典明。我が友人アヴドゥルの無念のために、左にいる友人ポルナレフの妹の魂のやすらぎのために』
バン
掲げた金貨の輝きに、目を光らせる乞食達。
『死をもって、つぐなわせてやる』
花京院は金貨を上へ弾き飛ばし、皆の視線は天の方へ一点に集中する。
その時、ハングドマンは乞食の内の1人の瞳に潜んでおり、これで一方通行の道が切り開かれた。
策略としては、ハングドマンより花京院の方が上手だった。
『これで皆の視線は一点に集まりましたよ』
道を作ってもらったポルナレフは笑顔で突き進む。
『"メルシー"(ありがとよ)。花京院』
蹴りで砂ぼこりをかけることで、その乞食に瞬きさせるように促す。
ハングドマンが光速で金貨へと移動するその瞬間、チャリオッツが一刀両断し、J・ガイルは深手を負う。
無様に逃げ惑う外道に、ポルナレフは引き金を引く直前のような凄みを持ち、この世で最も許せない悪の権化にセリフを吐く。
『「針串刺し」の刑だッ!この瞬間を長年待ったぜッ!』
全てはこの時のために。
スタンドに込められた剣の一振り一振りに、己の死力の全てを尽くし、ようやく仇が取れた。
あの時勝てたのは自分の力ではない。
花京院がいなかったら、自分は間違いなくこの場にいない。
そんな戦友にトランプしようぜと気軽に遊びに誘ってみたが……
(あの一件は俺の精神的な未熟さ故に招いた事実だ。邪険にされちまうのは仕方ねえけどよぉ……)
"運命の車輪"(ホウィール・オブ・フォーチュン)の戦い以来、何故か扱いが雑にされている気がしてならないポルナレフだった。