第14章 求める
「百合ちゃん。」
「はぁ、貴方に話すことなんて何もないわよ。」
ここは刑務所。百合ちゃんに逢いたくなって面会時間を貰った。百合ちゃんは殺人未遂の罪で刑務所行きだった。いつ釈放されるのかは結構遠くの方。元彼というと自分で自害をした。調べによると、百合ちゃんが死んだと思い自分の頭に拳銃を突きつけてまるでロミオとジュリエット。ラストは違ったけれど。
警察官が1人いる中、百合ちゃんははぁと溜め息を付き、ガラス越しに私を見る。
百合ちゃんはこの頃、変わったような感じがする。いつもズバズバ言うけれど……。顔に出やすいところとかを知った。
「……だから、言っているでしょ?可哀想だと思ったから助けたの。」
「それで、百合ちゃんは良かったの……?」
風の噂で聞いた、百合ちゃんはまだ私のことを恨んでいてそれで私を殺害しようと元彼の手助けをしたんではないか。と。その真実は本人にしかわからないけれど。
「さぁ、それは秘密よ。」
秘密か、百合ちゃんらしいな。少し座り直すとパイプイスがギシッと音が鳴る。ガラス越しだけども近くに寄り、百合ちゃんの目をじっと見た。何を隠されているのかは分からない。けれど、優しい理由だと信じたい。
「せっかく助けてあげたんだから、幸せになった方が良いよ。」
「じゃあ、私は友達の百合ちゃんのことを、釈放まで待っているよ。」
パイプ椅子から降りて、お辞儀をすると百合ちゃんの笑い声が聞こえてきた。
顔をあげると座りながら愉快そうにそして悪そうな顔で笑う百合ちゃんと目が合う。
「求め過ぎて何もかも考えられなければ良いのに。」