第4章 西方組織抗争
陽が傾き始める頃、私は拠点に戻った。
執務室に入ると
中也は構成員三名と打ち合わせ中だった。
「戻りました」
小さく声を掛けと、中也は私を手招きで呼んだ。
中也が手に持っていた資料は、今朝私が聞き出した内容だった。
捕虜の話では
【密会していた相手は『知らない』
だが、これから何をするかは『知っている』
武器を集めている。これからに向けて】
『これから』を尋ねたが此れも知らない様だった。
「武器の密輸ルートを洗い出せ。
葉月、手前も手伝え」
中也は部下に指示をだす。
「中也さん、一つ宜しいですか?」
「何だ?」
「次の手として一つ作戦があります。
釣りを行いたいのですが、許可を頂けますか?」
『釣り』は私達の囮り作戦の隠語だ。
ニヤリと笑った中也は「いいぜ、やってみろ」と言った。
● ● ●
作戦当日
結局、準備に二週間ほど費やした。
その代わり準備は万全だ。
私達は実際に武器商人から大量の武器を購入した。
餌となるには充分な量だ。
それの受け渡しが今日なのである。
取引の噂は事前に流した。
後は引っかかるのを待つだけだった。
私は取引現場の倉庫が程よく見える、とあるビルの屋上から双眼鏡で覗いていた。
耳に付けたインカムから少しノイズ混じりで声が聞こえた。
『様子はどうだ?』
「まだ動きは有りません。間も無く、取引時刻です」
ポートマフィアの構成員数名が倉庫の中 へ入って行った。
それを見計らっていたように倉庫を囲う人影が見えた。
「中也さん、釣れました。現場の指揮は頼みます」
『判った』
インカムは切れた。
後は現場の中也達が襲って来る諸々を倒して終いだ。
私はその場で作戦終了の合図を待った。