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おそ松さん〜地獄の沙汰もマツ次第〜(R18)

第1章 あの世であなたを脱がせたい【おそ松】


「やんっ……」
声が漏れると、おそ松さんは血走った目で私を見つめる。

「んじゃ、可愛い鬼の新人ちゃん、いっただきまーす!」

腰を突き出し、私を貫こうとした瞬間……私たちは強く引き剥がされた。


「桜! 何をやっているんじゃ!」
聞き慣れたしゃがれ声。

「奪衣婆さん!? 戻ってこられたんですか!?」
私は慌てて起き上がる。

目の前には、上司の奪衣婆さんが立っていた。

「ちゃんと死者を脱がせたようじゃな。やればできるじゃないか」

確かにいつの間にかおそ松さんは全裸になっていた。

「あの、脱がせたというか、この死者が自分から脱いだというか……」
私は乱れていた自分の着物を直した。

「桜ちゃん! なんで着物着るの!? 続きは!?」
股間を膨らせたまま、叫ぶおそ松さん。

「んん? そこのにーちゃん、ナニをしたいのか? わしがいくらでも相手してやるぞえ! 若い男は久しぶりじゃ」
奪衣婆さんがおそ松さんの肩を掴む。

「ひぃ! この婆さん、誰!? いや、俺は桜ちゃんと……」

「遠慮はいらんぞ!」

奪衣婆さんがおそ松さんにのしかかった。

「うわぁ! いやあぁ! 離してえぇ! あの世でぐらい可愛い女の子と思う存分えっちさせてくれたっていいだろおぉ!」

叫ぶおそ松さんを横目に、私は彼の白装束を拾って木に掛けた。枝が大きくしなる。

うん、重い。たぶんこの人、地獄行きだ。


「ほらっ、オトコなら、ぶちゅっと一発キスでもキメんかいっ!」
奪衣婆さんの威勢の良いげきが飛ぶ。

「ひぃーっ! ディープキスやめてえぇぇ!」
響き渡るおそ松さんの悲鳴。


ここはあの世とこの世の境界、三途の川。現世で亡くなった人々があの世に行くために渡る川。

もう少しこの仕事を頑張ってみよう。私にだって、できるよね?

「よしっ、がんばろっ!」 

逃げ惑うおそ松さんを見つめながら、私はひとり頷いた。




END








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