第8章 淫雨
【翔】
初めて聞いたニノの本音に涙が止まらない。
俺は…
人間として最低なことをした。
自分で分かっていたつもりだったけど、
ニノの言葉が…
包み隠すことのない本音が…
自分本位な俺を突き刺した。
俺はなんて自分に甘いやつなんだ///
大切な仲間を傷付けて…
泣かせて…
本当は、ニノにこんな優しくしてもらう資格、
ないのに…
両手で顔を覆って嗚咽する俺の背中に、
ニノの手がそっと触れた。
ニノ……
おまえって、ほんとに凄いヤツな…
こんな俺に…
こんな酷いことした、俺なのに……
この状況で知る、仲間の懐に深さに
胸が締め付けられる。
「だからこそ、大野さんと潤くんのこと、
助けようよ!」
「……」
「今の翔ちゃんになら、出来ると思うよ?」
「…ニノ……俺…おれ…」
「そんな泣くと、顔酷いことになるから(^^;
またネットがざわつくよ~?
『櫻井翔、激太り』とかね…
その辺にしといてよ~」
ニノが笑うから、俺は増々涙が止まらなかった。
自分がしてしまった、
取り返しのつかないことが、
今また、このタイミングで俺の心に大きな楔を打ち込む…
何が出来る??
ニノに……
相葉くんに…
俺が出来る罪滅ぼしって…
「大野さんと松潤を元に戻すことだよ?」
俺の心の叫びが聞こえたかのように
ニノは俺の背中に添えられていた手で軽く叩いた。
「……うん…」
車は、海の上の真っ直ぐな道を、
智くんの待つあの隠れ家のような別荘へと連れて行く。
どんな事をしても…
ふたりを取り戻したい。
嵐を……
俺のエゴでこんな風にしてしまった大切な仲間を
俺は救わなきゃ…
俺が……
また5人で、
心から笑い合える日のために。
先の見えない未来を明るく導いてくれるみたいに、キラキラと輝く海は、どこまでも凪いでいた。