第5章 十三夜月
捕らえた顕如を三成に安土に連れ帰るよう信長は命じ
残りの一行は春日山組と共に近くにあった城へ一時的に集まった
「相変わらず葉月は容赦ないな~」
『私がしつこい男を嫌いなの知ってるでしょ?』
東西に分かれて鎮座する安土組と春日山組
家康の横に座っている葉月は
中央下座に座る大翔と気さくに話をしている
その様子を見て少しずつ家康の眉間に皺が刻まれていく
「知ってるけどさ、刀持った男を蹴り飛ばすか普通?」
『あら、大翔だって蹴飛ばしたじゃない』
「俺のは桜花を助けるためだろ」
「(姉さん家康公の眉間の皺が......)」
無表情ながら心の中でハラハラして様子を窺う佐助
「桜花アイツは敵じゃないのか?」
「へ!?えっ~と、敵ではないかな?
あっでも家康には敵(恋敵)になるのかな?」
秀吉が大翔を睨みながら問いかけると
驚いた声をあげてからぶつぶつ言い始めた
「は?どう言う意味」
さらに皺を深くしながら家康は横にいる葉月を見た
「あんたが徳川家康?」
「......」
葉月が口を開く前に大翔が笑みを浮かべて
名前を聞いてきたがチラッと見ただけで
家康は葉月に目線を戻した
「あれ?違った?」
『人に名前聞くときは先に自分の名前を名乗るのが礼儀よ』
「ああ悪い、俺の名前は大翔」
『大翔も500年後から来た一人なの』
「そうそう、それで葉月のフィアンセなんだよね」
「は?なに?」
「この時代で言う許嫁です」
大翔の言葉を佐助が言い直す
「ってことは葉月には許嫁が二人いるってことか?」
「そう言うこと~
だから葉月を俺に還してくれるよな?」
政宗の言葉に肯定した大翔は笑顔で家康に言いはなった