第15章 *初めての愛を集めて*
§ ユイSide §
長いようであっという間だった夏休みは終わりを告げ、あっと言う間に始業式の日となった。
直前で何とか退院できた私は焦凍と一緒に学校への道を歩く。
「やけに嬉しそうだね、焦凍」
「そうか?」
知ってるよ、その理由。
今まで散々私が焦らしてきたんだもん…こうして一緒に登校するのも、教室で沢山話せるのも…堂々と出来るのは今日からだもんね。
今まで色んな事がありすぎて沢山焦凍に助けられてきたけど今度は私が何か返せると良いな。
「ね、焦凍」
「何だ?」
「私さ、焦凍の事好き」
「当たり前だな」
こうしてまた「好き」が増えていくの。
好きが溢れたらそれは愛になる。
そうしたら次は何になるんだろう?
私はまだ
好きも
恋も
愛も
知ったばっかりだから分からないけど
事情だっていっぱいあるから簡単にはいかないんだろうけど
「おっ、ユイちゃん!おはよう!」
「おはよう、上鳴くん」
「朝から轟と登校かよ…心折れそう、俺」
「誰がお前のって言った」
「うるせー!俺がユイちゃんをかっさらってやる」
「二人とも、何の話?」
「別に」「何でもねぇ!」
「?仲良しだね、二人…」
それでも、二人でこれからも歩いていこう
初めての愛を集めて……————。
END