第1章 出会うべくして
櫻井「…ごめん!」
「あ、大丈夫。今始まったところ。」
映画館が暗くなり、
宣伝が終わり、本編が始まったところ。
翔は仕事が伸びて
約束の時間には来れなくて。
私は先に座席に着いて待っていた。
同じ映画をつい最近観たばかりなのに
一緒に観る人によって、
こんなにも感じ方が違うものなのか?
すぐ隣に座る翔。
いつもより距離が近くて、
肩に力が入る。
映画が終わり、
暗い内に外に出る。
櫻井「良かったね。ごめんね!
遅れて…!」
「大丈夫。来てくれて嬉しいです。」
精一杯の笑顔を向ける。
あれ?逸らされた。
「翔…?」
櫻井「可愛い…ね。」
「へ!?」
歩きを止める。
翔も止まった。
さっきから目を見てくれない。
櫻井「が!」
「……………」
櫻井「可愛いって思う…んだけど。」