第8章 どうして○
射精とは一味違った射精感。
それが下半身で爆発し、尿道にドッと流れ込む。
「―――っ!」
パクパクと鈴口が蠢き、鮮烈な稲妻が脳天を貫いた。
体が浮くような快感の激流。
陰茎が焼け付くように熱く、まるで噴火した火山のよう…。
俺は、人生で初めて潮を噴いたのだ。
頭も体も、何もかもがスパークして真っ白になり、射精よりも強烈な快楽に恐怖を覚える。
口の端から涎を一筋垂らし、崩れそうな体を咄嗟に壁に着いた手で支えた。
「ん……は、」
ダメだ…このまま行けば、思考力もショートしてただのバカになる…。
ジワジワとズボンに染みてゆく潮に身震いして、俺は我武者羅に男を振り払う。
もたつく足で人をかき分け、丁度到着した駅で電車から降りた。
(ズボン…お漏らししたみたいじゃねぇか…)
柱に隠れて身なりを整え、電車が遠ざかる音に安堵する。
股間の一部が濡れてしまったのは、まだ何とかなるか…。
(だけど…あんなに気持ち良いことが…って、何考えてるんだ!)
男から逃れて安心したものの、思い出してみればとてつもなく気持ちが良かった。
怖いけど…もう一度味わってみたい…。
心に芽生えた難しい感情に悩まされ、ボー…としながら俺は帰路についた。