第8章 どうして○
「はぁ…」
(今日も疲れたなぁ…)
現役高校生で夜まで塾通い。
俺は夜の満員電車で立ったまま目を閉じ、一番隅の壁に凭れて電車に揺られていた。
眠気で首をカクカクさせる俺は、背の高い男が側に来ていた事に気付かなかった。
その男に突然肩を掴まれ、そのまま強い力で引っ張られる。
驚いて目を見開いた俺の視界には、さっきまで自分が凭れていた壁。
背中にピタリと誰かがくっついていて、肩を掴む手は後ろから回されていた。
突然体の向きを変えさせられた俺は身動きが取れず、理解不能な状況に怯える。
(な、何だ…!?めっちゃ密着されてるんだけど…!)
何とか脱出を試みるも、ガッシリと肩を掴む手がそれを許してくれない。
そうこうしている内にもう片方の腕も回されて…男の手は迷うことなく俺の股間に当てられた。
「っ…!?」
(はぁ!?え!?嘘だろおい…!何で触ってんだよ気持ち悪ぃっ!!)
男に男の象徴をやわやわと揉まれ、気色悪さに背筋が戦慄く。
俺の気持ちなど知らない男は、制服のズボンの上から陰嚢や陰茎を鷲掴みにして弄ぶ。
気持ち悪くて仕方が無いのに…俺の体は素直に熱を帯び、陰茎をムクムクと勃ち上がらせた。
(やばい、最近オナってなかったから……っ、)
勉強して疲れてすぐに寝る生活が続いていたので、性欲の堤防に一瞬でヒビが入る。
ビキビキッ…
頭の中で逃げなければと思うのに、体が刺激を欲して言うことを聞かない。
ある意味で、精神と肉体が分離してしまったようだ。
「…っ、は…!」
込み上げる声を必死で抑え、代わりに何度も深い吐息を漏らす。
(ぅ、まずい…気持ちいいとか…ありえねぇのにっ、)
ゾクゾクと体に痺れが走り、男の指さばきに感じ入ってしまう。