第6章 女王様は#
甘い香りが漂うこの寝室。
女王蜂の私は高い天井を見上げ、退屈な息を吐いた。
「…はぁ…」
今は交尾期間の真っ最中。
現在私の脚の間では、一匹の雄がひとりよがりに腰を振っている。
突かれている私は全く気持ち良くないし、寧ろさっさと解放してほしい。
毎晩私の部屋に雄たちが押し入って来ては、自分だけ快感を貪って力尽きる…そんな毎日もう飽きたわ。
退屈よ。何もかも。
「くっ…!!」
背中を戦慄かせた雄は小さな喘ぎ声を発し、欲望を私の中にぶちまける。
…ああ、穢らわしい。
熱い飛沫を奥で感じ、ある意味私も戦慄する。
いつまでも余韻に浸る雄を引き剥がし、私の寝室から追い出した。
「さようなら。お勤めご苦労。」
「じょ、女王様、まだ…」
「何?お勤めご苦労って今言ったでしょ。あんたの仕事は終わったのさようなら。」
泣きつこうとする雄を突き放し、情けない顔面を跨いでお腹にグッと力を入れる。
すると膣内に注がれたはずの精液がドピューッと飛び出し、ドロドロと雄の顔面にかかった。
「要らないから返しとくわ。じゃ。」
「あ…女王、様……」
後ろ脚で扉を豪快に閉め、私は再びベッドに寝転がる。
気怠い体をそっと横たえて、どこかイイ雄は居ないのかと残念な気持ちになった。
「…自分で探すしかないわね。」
待つぐらいなら自分から動くしかない。
眠りに着く前に心を決め、翌日、私は久しぶりに巣の中を自分の足で歩き回ることにした。