第27章 安定期
山崎
「よし、行こっか。」
私は退に連れられて、
街中をゆっくり歩き出す。
山崎
「そう言えば、そろそろじゃなかった?定期健診。
一緒に行こっか!!」
佐藤
「…定期健診…終わったよ。」
山崎
「え!?マジ!?
あー、行きたかったなぁ…」
(嘘つき…子供の事も私の事も…
どうだって良いくせに。)
山崎
「性別わかった?」
佐藤
「…はい…」
山崎
「え!?ほんと!?どっちだった!?」
佐藤
「…男の子…」
山崎
「男の子か!!」
何も知らず喜ぶ退…
その姿が哀れで…それになんだか申し訳なくて……
佐藤
「退さん…わたし、ちょっと今から用事があって、
直ぐに戻るから先に帰っていてくれませんか?」
家に帰れば…現実を知ってくれる。
自分の口から説明出来れば良いのだけど…
山崎
「え?そうだったの?
…分かった、先に戻ってるから。」
佐藤
「…はい。」
私は退を見送ると…
行く宛てもなく江戸の街に溶け込んでいく。