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君と僕とが主人公LS

第1章 3月


約五年間を海の向こうで一緒に過ごした幼馴染が一年遅れで帰ってきた。
高校への進学を機にアリスが先に帰国してきたのだ。
アリスの父親に頼まれ引越しの手伝いをしに来ていた火神は、大きな段ボールを軽々と持ち上げる。
夏に父親が遅れて帰国してくるらしいが、それにしても荷物が少なすぎる。
もっと女ってごちゃごちゃ荷物が無駄に多いものだろうに。
ここに運び込まれたばかりの家具はこちら(日本)で買った真新しい物。それすらも必要最低限のものばかりだ。
机の上に置かれていた高校の入学案内が妙に現実的で浮いている。


「お前も誠凛に行くのか?」

『日本独特の年齢格差とかまだ慣れないし。センパイって言う人が少しでも少ない所がいいかな、って。』

「ハハッ!アリスらしいな。」


少ない持ち越しの私物の箱を開いていたアリスは溜息をついた。
どうした?と彼女の手元を見ればバスケットボール、そこには横文字のメッセージがびっしりと書かれていた。
内容は別れの言葉ばかり。
きっと向こうの友人達から贈られた物なのだろう。
アリスはそのままその箱の蓋を閉め、ガムテープでしっかりと塞いでしまうとクローゼットの奥へとしまい込んでしまった。
次に彼女が開けた段ボール箱の中から出て来たのは幼い頃の自分達の写真が入ったフォトスタンド。
バスケットボールを持ってキラキラの夏の日差しの下で並ぶアレクサンドラ=ガルシア、氷室辰也、火神大我、如月アリス。
完全なるアウェイの地で共に育った三人と、三人にバスケの楽しさを教えた人。
火神が父親の仕事の都合で先に帰国する事になってしまった日、また一緒にバスケをやろうと約束をしたが、今の彼女にはもうその約束は果たせないかもしれない。


「なぁ今夜はウチで食ってけよ。こんなんじゃロクな飯、作れねぇだろ?」


キッチンにはまだ荷解きされていない段ボール箱。
それに冷蔵庫は空っぽで、調理器具も揃ってはいない。


『やった!タイガのご飯久しぶり♪』


そう言ったアリスは、やっと笑った。
その笑顔は飾られた写真の中の彼女と変わっておらず、火神は安心した。
日本に帰ってからあんなに大好きだったバスケがつまらないものに変わってしまいそうだった。
けれどアリスが一緒なら、きっとまた楽しくなる、そう感じていた。
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