第22章 *理性と本能*〜桜井良〜
桜井side
「お邪魔しまーす。おー、綺麗な部屋!」
部活が休みの日曜日。
僕の部屋に、彼女の香奈さんが来た。
僕の部屋に香奈さんが来るのは、今日が初めて。
僕が香奈さんの部屋に行った事もないから、二人で寮で過ごすのも、これが初めてという事になる。
「そうですか?」
「うん、男子の部屋とは思えない!前桃ちゃんと大輝の部屋行った時なんか、ごちゃごちゃ過ぎてビックリしたよ!」
そう言って、クスクスと思い出し笑いをする香奈さん。
その顔はとても綺麗だった。
「何か飲みますか?」
「へ?あ、いーよいーよ。お昼ご飯食べたばっかりだし。」
香奈さんがベッドに凭れるようにして床に座ったのを見て、僕も隣に座る。
と、ベッドに背中を預けていた香奈さんが、僕の肩に頭を乗せた。
「最近寝不足なんだぁ…。ちょっとだけ、こうしていい?」
そう言って、僕の腕に抱きついてくる。
「は、はい…。」
「ふふっ、ありがと。」
あまりに近くて、僕はかなり緊張した。
「ん…なんか寝ちゃいそ…」
「いいですよ。あっ、生意気な事言ってすみません!」
「いいよ、謝らなくて。…寝ないけど。良君といる時間、少なくなっちゃうもん。」
そう言いつつも、眠たそうにうとうとする香奈さん。
「…無理しないで下さい。」
僕は、そんな彼女の頭を優しく撫でた。
「寝な…い…」
そう言い終わると、すぅ、すぅと寝息を立て始める。
「…おやすみなさい。」
寝たのが分かった後も少し頭をなで続けて、僕は呟いた。
僕も寝ようかな、と思ったけど、特に眠くもないから寝れなかった。
する事が無くなった僕は、香奈さんの顔を少し覗き込んだ。
さっきの笑顔とはまた違う可愛さがあって、ドキンとする。
「…すみません」
起こさないように小さく呟いて、僕は彼女の額にキスをした。
*理性と本能*
自分でも止められないくらい、
あなたの顔を見ると、
触れたくなるんです。