第13章 *季節限定*〜火神大我〜
火神side
「お邪魔しま…くしゅっ!」
「またかよ…。」
冬の寒いある日の部活後、彼女の香奈が俺の家に来た。
普通なら帰らなきゃいけない時間だけど、香奈は極度の寒がりで、どこかであったまってから帰らないと死ぬーとか言ってたから、少しだけ家に寄ってもいいぞ、と言った。
タイマーで暖房が少し早めに起動するよう設定しておいたから、部屋の中は暖まっていた。
「あったかー…。」
「少ししたら帰れよ。…送ってやるから。」
「えー。帰らなくちゃいけないの?」
「当たり前だろ!」
「だってあたしも一人暮らしだもーん。別にいいじゃん、家帰ったって寒いんだし。」
本当、どこまで寒がりなんだか…。
俺も一応寒がりだが、香奈ほどではない。
香奈ほどの寒がりは、初めて見た。
「ねー火神。」
「ん?」
「ぎゅーっ」
「は!?」
俺が香奈のわがままに呆れていると、香奈が突然俺に抱きついてきた。
寒いからか、いつもよりも体を密着させている。
「何してんだよっ!」
「だって、火神って名前からしてあったかそうなんだもん。」
そう言った後、
「来年の冬も、ぎゅーってさせてねー。」
と、俺の顔を見上げて笑いながら付け足した。
「…冬だけかよ?」
「ん?」
俺が少し不機嫌そうな顔をすると、困った顔をしながら香奈は首を傾げた。
そんな香奈を、今度は俺が抱きしめる。
「わっ、びっくりした…。どうしたの?」
「…迷惑とか全然思ってねーから、もっと俺に甘えろよ。」
「えっ…い、いいの?」
「だから、いいって言ってるだろ…!」
赤くなった顔を隠すように、顔を背ける。
けど、香奈がぴったりとくっついてきたのに気づいてまた顔を戻すと、香奈も真っ赤になりながら俺を見ていた。
「じゃあ…今日は、このまま一緒にいたい…な。」
体感温度は、いつの間にか熱いほどになっていた。
*季節限定*
冬だけなんてあっという間。
いつとか関係なく、
俺は、お前に触れていたい。