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Sweet Love*

第2章 黄瀬*常習犯


「香奈ー! 分かんないっスー」

彼氏である黄瀬くんが抱きついてきた。
顔は見えないけど、涙目になっているんだろう。

……っていうか。

「まだ一問も解けてないじゃない! しかもそれ、中学の問題だよ!」

そんな私達は今、私の家で勉強会をしている。
これは思ったより手間がかかりそうだ。

「もう……。教えるから離れてよ」
「嫌っス。もう勉強やめにしないっスか?」

彼は子供みたいに、肩にぐりぐり顔を押しつけてくる。一方の私も、特に恥じらいはなかった。

抱きしめられるのはもう慣れっこだから。
……ふと、今までのことを振り返る。



「俺、香奈のことが好きです。俺と付き合ってください!」

意外だった、黄瀬くんからの告白の時も。

「あっ、わ、私も……っ」
「本当っスか⁉︎ やったぁー!」

いきなり飛びついてきて、初めてだったからすごく混乱した。


デートの時も。

ファンの女の子に追いかけられて、人気のない路地裏に逃げ込んだら、

「わっ、ちょっと急に……!」
「しーっ。見つかっちゃうっスよ」

そう言って抱きしめられたっけ。




甘えたなのか、彼は相当ハグがお気に入りらしい。

「香奈」
「んー?」
「俺、こうしてんのすげー幸せっス」
「……知ってる」

少しの沈黙のあと。

「勉強、もうちょっとだけ待ってくれないっスか?」
「そう言って、やんないくせに。……いいよ」

甘やかす私も、結局、抱きしめられるのが好きなのかもしれないな、と思った。


*常習犯*

甘やかされて、甘やかして。
いつもそうやって、
お互いをダメにしてしまうね。
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