第9章 *キスの味*〜桜井良〜
香奈side
「桜井君っ!一緒にお弁当食べよ?」
昼休み。
私は、隣の席であり、好きな人でもある桜井良君に話しかけた。
理由は昨日、桜井君が料理上手だと知ってお弁当を作って欲しいと頼んだところ、『いいですよ』と言ってくれたからだ。
「はい!昨日約束してたお弁当ありますよ。」
「やったー!あ、そうだ!何なら裏庭で食べない?」
何と無く二人になりたくて言ったら、
「はい!じゃあ、行きましょう。」
と笑顔で返事をしてくれた。
…裏庭には予想通り誰もいなくて、二人きりになれた。
「いただきます。」
桜井君のお弁当はとっても美味しかった。
とにかく私は、一つ食べる度に美味しい!と言った。
「よーし!卵焼きだ!」
「好きなんですか?卵焼き。」
そりゃもう!
大好物ですよ!
という事を伝えたくて、満面の笑みで
「うん!大好きっ!」
と答えた。
「…僕も、好きです。」
「だよねー!んん、美味しいー!」
味わうようにいつもより無駄に多く噛んで、飲み込む。
「桜井君も卵焼き好きだったんだ!同じだね!」
卵焼きが好物、なんて人少ないから、同じだと知れて嬉しかった。
「いえ、僕は…」
そこまで言って、止まってしまった桜井君。
顔を覗き込むと、
『チュッ』
と、突然キスされた。
「…えっ…なっ、なっ!?//////」
「僕は、卵焼きじゃなくて…香奈さんが好きです。」
「さ、桜井く…!?」
「美味しかったですよ。卵焼きの味がして。
…す、スミマセン/////」
なんかいつもと違うかっこいいとこ見たと思ったら、また謝る桜井君。
いつもと違うのは…顔が赤いところ。
「わ、私も…好き。だから、もう一回…キスして?」
「////は、はい////」
『チュッ』
*キスの味*
あなたとのキスは、
私の好きな卵焼きと、
卵焼きより大好きなあなたの味がした。