第8章 決別。
少しの間を置き、
『どうぞ…』
と返事が返ってきた。
『失礼します。』
中に入ると、一番奥の席に腰をかける理事長先生がいた。
学峯『おや、桃宮さん、どうされましたか?』
理事長先生は、学校では必ず名字で呼ぶ。普段、学秀の家へお邪魔させてもらっている時は、まぁさんだけれど…。
公私混同はしない。
この人らしいな…。
『理事長先生、カルマは…いえ、赤羽君はイジメられていた先輩を助けただけなんです!
私も学秀君も知っています!
それに、倉橋さんや潮田君も決して勉強を怠ったわけではありません!
だから、その…E組の制度を廃止して下さい!
一面の弱さだけを見ないで!私たちの事、一人ひとりちゃんと…』
学峯『見ていますよ。
私はね、桃宮さん、入学する生徒はもとい、卒業生、全員の名前、能力、性格を把握している。
例えば、桃宮さん、あなたの過去もね。』
『くっ…』
学峯『話は終わったようです。明日から冬休みですね!風邪などをひかないよう、体調管理にも気をつけて下さい。』
『理事長先生…。残念です…。わたし、どこかで期待してました。
学秀も…理事長先生のことも…。けど、思い過ごしなんですね。』
私は、思いっきりトロフィーや盾がならべられた棚を蹴り飛ばした。
『素行不良な生徒も、E組行きなんですよね?』
理事長先生は、眉1つ動かさず私を見ている。
学峯『残念です。桃宮さん、君は息子といい仲だと思っていたのですがね。
冬休みが明けたら、君もE組行きです。』