第28章 恋人の時間 〜カルマオチ①〜
『待たせてすまない…。』
彼が紫色の瞳を真っ直ぐに私に向けて言う。
『ありがとう…。来てくれて。』
学秀『ごまかす必要はない。きちんとまぁの気持ちを知りたい。』
『うん…。学秀にはきちんと話す。これが私の精一杯できる誠意だから。
学秀……私ね、学秀の事は幼馴染として大好き。大切な存在。だけど、私の気持ちは、他の人にあるの。
だから、学秀とは付き合えない。』
真っ直ぐに、学秀の瞳を見て答える。
学秀『……そうか。赤羽にはもう伝えたのか?』
私は首を横に振る。
学秀『なら、早く気持ちを伝えてこい。
が、こうも伝えてくれ。まぁも赤羽も椚が丘へ残る。つまり、少なくとも3年間、まだ僕にもチャンスはある。
必ず、振り向かせてみせる!
幼馴染の性格はまぁ、お前が一番知っているだろう。』
『うん…。…ありがとう。学秀。じゃあ私、行くね。』
そう言って山道を下っていくまぁを見えなくなるまで見つめていた。