第19章 『あなたに夢中』
- 二宮 side -
「まつずん〜のんれるか〜ぁー?」
「飲んでる、飲んでるよ…あーあー…もう、ぐっちゃぐちゃ…」
主役の部屋で、でろんでろんに酔っ払ったメンバーたち
生活感の少ないシンプルな部屋に似つかわしくないほどの空いたボトルがあちこちに散乱して
その惨状に苦笑いしながら酔っ払いを世話してる主役
そういう優しいとこ好きなんだけどさ…
メンバーもいるから仕方ないんだけどさっ
自然とぶすっとなる顔
「…ニノ?どした?」
「なんでもなーいでーす」
気づいてくれた恋人からぷいっと顔を背ける
メンバーがいるからの呼び方もまた、心がぶすってなる
カズ、って呼んでよ早く…
ソファの上で足を抱えて子供みたいに拗ねた
視線の端っこではラグと仲良くなってる大野さんたちにタオルケットを掛けてるのが見える
チラリとこちらに困ったような顔を見せたけど、それは一瞬で
また酔っ払いの介抱をしはじめた
手に持ってたワイングラスを傾けて、渦巻く感情を流し込むようにグラスに残った透き通った赤を体に流し込んだ
恋人になって初めての潤くんの誕生日パーティーなのに、俺なにやってんだ、なんて感情も湧くけど…
でも、潤くんも悪いもん
顔背ける前までずっとあなたを目で追ってたのにさ?
気づいてるくせになんのアクションも見せてくれないんだもんよ
いくらさ?あなたが奥手でそういうことできない人だってわかっててもさ…
不貞腐れさせてくださいよ、ちょっとだけ
テーブルに残ってた最後のピザを手に取って、一口で全部頬張った