第13章 epilogue──幸せは君と。
「今回で、私は君を失う事の辛さを知ったよ。もう2度と味わいたくない」
太宰の言葉が進むにつれ、菜生の緊張が高まっていく。
何を云う積もりなのか、何となく察してしまう。
そしてその洞察が当たれと、それだけをひたすらに願う。
「私と、付き合わないか」
──帰って来て、良かった…
──私も、2度と治と離れたくない…
思わず零れそうになる涙を必死に堪えながら、無言で太宰を抱き締める力を強くした。
菜生の無言の答えが伝わったらしく、太宰は優しく菜生の頭を撫でた。
「幸せにする」
「2人で、幸せになろうね」
遠回りしたけれど。
私の幸せは、君と。
君さえいれば、この世の誰よりも幸せだと、そう信じる事ができるんだ。
end.