第4章 4 眠った裏フィルム
世界は荒廃した。
生命は枯渇し、あらゆるものが悪に染まり果てた。
そんな絶望に満ちた世界の本の一握りの希望達。
すべての頼みの綱は[終焉戦争]を打破せんと動いた若者達の手に委ねられた。
追記:[終焉戦争]打破を目的とした組織のリーダーは一般市民の少女だった。
そして最後に、この[終焉戦争]の結末は……※※※※※※※※※※※※※※※※※※。
そしてフィルムはそれから先の物語を紡ぐ。
……ザーッ
降りしきる雨の中、誰かが街を駆け抜ける。
「はっ……はぁっ、はっ……」
バチャンバチャッバチャッ…ビシャッ
路地裏で、誰かが倒れ込んだ。
左目に、竜の鱗を形どったような眼帯がかいまみえる。
その誰かは、派手な装飾をあしらった服を黒いコートで隠していた。
まるで素性が知れるのを防ぎたいが為のように。
不意に、誰かは、首から下がったペンダントをギュッと握り締めた。
金色に縁取られた、青い、円形の石だ。
だが、そのペンダントには何かが足りないように見える。
何故そう思うのかはわからないが、
不思議とそう思えてならない。
「こんなんじゃ、ほんと、世話、ねぇなぁ、は、は…」
誰かは、壁づたいにずるずると傾き、固いコンクリートへと身を預け、その青い瞳を閉じた。
本を開いた狐はその目を細める。
目次は未だ白紙だ。
[終焉戦争]は再び現れるのか。
そしてそれを組織するのはなんなのか。
[終焉戦争]を今度こそ終わらせられるのか。
フィルムはここで一旦終わりのようだ。