第1章 通称地獄谷
しばらく茂みに隠れていたけれど…
美菜
「神無くん…わたし行くね。」
神無
「は?行くって村の奴らの所へか?」
私は頷く。
美菜
「私が逃げたって事になると…
母さんや父さんが何をされるか分からないから…」
神無
「それは違いないけど、
お前には幸せになる権利があるじゃないか。
…今時、村の為に生贄になるなんて馬鹿らしい話だと思わないか?」
私は立ち上がった。
神無くんの言っている事は分かる…けど…
やっぱり親は親であって……
美菜
「神無くん、いろいろありがとう。
そろそろ…行くね。」
神無
「おいっ!美菜!!行くなっ!!」
(行きたくないよ…本当は行きたくないに決まってる!!
でも…行かないといけないでしょう?
だって………やっぱり好きなの父さんと母さんが……)
私は、神無くんが止めるのもきかず走り出した。