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ハイキュー!! 冬休み企画!!

第11章 冬の温もり


また、か。

もうここにはいないと分かっているのに、つい···その場所に目が行ってしまう。

もう、1年経つんだな。

春華···

天「わっかと~しク~ン?隣座ってイイ?」

「良いも何も、既に座っているだろう」

天「バレたァ?」

妙に機嫌のいい天童が、食事プレートをテーブルに置いてオレをジッと見る。

「何だ」

天「若利クンさぁ、また見てたでしょ?···あそこの席」

「それがどうかしたか?」

素っ気なく答えれば天童はニタリと笑って見せた。

天「かわいかったよね?ハルってさ。今頃は海の向こうでモッテモテ~!な毎日を過ごしてるかもヨ?」

「天童、静かに食べろ」

触れられたくない傷跡に塩を塗り込むような発言に、更に素っ気なくなる。

天「やっぱりまだ···ハルのこと···」

そう言ってくる天童の言葉を流し、春華と出会った頃の事を密かに思い出した。





ニャ~ン···

『こら、邪魔しちゃダメなの』

部活の前のロードワークから戻ると、体育館の裏の方から猫の鳴き声と、それから人の声が聞こえてきた。

こんなところで、誰だ?

そう思ったオレは、引き寄せられるかのように足を向けた。

ニャ~ン···

『もうちょっと待っててね?そしたら遊んであげるから、分かった?』

猫の頭を撫でながら言って、手にしたバインダーに何かを書き込む後ろ姿。

白衣を着ているという事は、研究サークルか何かの部員か?

時折、目の前にある花壇に目を向けては、また、何かを書き込んでいる。

何を、しているのだろう。

無意識にもう一歩だけ、前に進む。

ジャリ···と音が立ち、それに驚いた猫が走り去って行った。

『あっ···行っちゃったか···今日はおやつ、まだあげてなかったんたけどな』

小さく息をつき、白衣のポケットからお菓子のようなものを取り出して眺めては、またポケットに戻した。

「···スマン。どうやらオレが猫を驚かせてしまったようだ」

振り返ることのない小さな背中に声をかけると、軽く肩を跳ねながらオレを見た。

『あ···牛島君?』

「なぜ、オレの名を?」

『なぜ?って、この学校の生徒なら知らない人はいないんじゃないかな?だって牛島君、有名人だから』

有名?と返せば、バレー部のエースなんでしょ?と笑っている。
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