第9章 カテキョの代金
高校3年生の私の冬に休みなど存在しない。
年末年始も大学受験の為に講習を受け、家にいる間は勉強漬けの日々だ。
それなのに私の彼氏、黒尾鉄朗ってやつは…。
「あけおめ。今日は流石にオフだから、久々にデートでもするか?」
なんて、気軽にお誘いしに来やがった。
こっちは勉強ばかりの生活で、元日だってのに初詣も行かずに頑張ってるのに。
「無理。受験勉強してるから」
そのお気楽さ加減が苛々しかしないから、お断りしたのに…。
「んじゃ、部屋デートなら良いだろ?勉強の邪魔しねぇから」
「居るだけで邪魔なんだけど」
「折角会いに来た彼氏に冷たくね?大体、1時間やそこらサボったくらいで受からねぇ大学なら、最初から無理に決まってんだろ」
「無理とか言わないでよ!不可能を可能にする為に頑張ってんだから!」
「ハイハイ。それなら、玄関先でケンカなんざしてる場合じゃねぇよな?早く部屋行くぜ?」
この調子で、強引に家に上がってきてしまった。
親公認のお付き合い。
しかも鉄朗の外面の良さに騙されている両親は、あっさりと娘の部屋に男が入るのを許してくれた。
今から追い出しでもしたら、私が怒られる。
諦めて部屋デート…いや、部屋に人が居るちょっと緊張した状態での勉強をする事にした。