第6章 私だけの〇〇〇
黒「アララ~残念。リエーフが遅かったらオレが貰っちまおうと思ったのに」
リ「いくら黒尾さんでも、絶対渡しません」
更にギュッと抱きしめるリエーフの腕が、何だか嬉しくて。
それに答えるように、私も腕を伸ばした。
研「結局、元通り···」
黒「犬も食わないってヤツな」
呆れ顔のふたりに小さく笑いながら、そっとリエーフの胸に顔をつけた。
リ「ハル。これから先も、何が起こってもハルが1番だから」
耳元で囁くリエーフの言葉に、嘘はないと思う。
ちょっと引っ掛かったから。
『リエーフ、まだ何か起きる予定でもあるの?』
小さくチクリとお返しをしてみる。
リ「えっ?!あ、えっと···ほら!やっぱカワイイ女の子に声かけられたら男として嬉しいじゃん?」
悪びれもせずにサラッと言いのけるリエーフの腕をすり抜け、黒尾さんと研磨さんの間に座る。
リ「え、なに?なんで?」
研「リエーフ、バカすぎる···」
黒「お前、懲りねぇヤツだなぁ」
『右に左に、同じくです···』
3人同時にわざとらしいため息を吐いて笑う。
リ「ハル?」
『ほ~んと、呆れちゃう···でも』
研「でも?」
私の呟きを繰り返す研磨さんに少し笑いかけて。
『そんなしょうもないリエーフが大好きな私も、しょうもないヤツかも?』
黒「まったくその通りだな」
『···です』
同じタイミングで一斉に笑い出す。
リ「えっ?!」
リエーフには、よく分かってないみたいだけど。
だけど、さっきのリエーフの言葉が嬉しかったから···今はそれでもいいかな?って思う。
···今は、ね?
『リエーフ?浮気とかしたら、おとなしく黒尾さんに食べられちゃうからね?』
黒「そん時はありがたく頂くとしよう」
リ「黒尾さんっ!絶対ダメですからね!!」
慌てながら叫ぶリエーフと。
研「はぁ···またゲームオーバー···」
ため息をついて呟く研磨さん。
この日は暗くなるまで、このメンバーでギャーギャーと騒いで過ごした。
リ「ハルはオレのだからっ!」
···リエーフも、私だけの王子様でいてね?
~ END ~