第3章 後編
「嘘っ…なんで…!」
ユーリが魔力を解除しても塞がらなかった穴。
だから慌ててローの元へと駆け寄ろうとしたが、どういうわけかその穴は綺麗に消えてなくなってしまった。
それはまるで、二人が奈落の底へ落ちたことを証明するかのように。
「…こんなの…こんなの、私は…望んでない…!」
ユーリは地面に辿り着くと、膝から崩れ落ちた。
そして地面に爪を立てると、必死に土をかき分ける。
「開けっ!…開け!!」
何度も悲痛な声でそう叫ぶユーリ。
腐敗した手からは、血が流れていた。
「…お願い…開いてよ…」
ユーリはその場で泣き崩れた。
魔力の底をつきかけているユーリは、何度も地面を叩いた。
…また、ローに助けられた
…今度は私が助けるはずだったのに
ユーリはその場から動かなかった。
日が暮れて辺りが闇に包まれても、彼女は地面に手をついたまま、ずっと泣いていた。