第12章 Sugar12
「なぁ、心羽?今日ってなんの日かわかる?」
「なんかあるの?」
まじで言ってんの?こいつ。
彼氏・・・いや、婚約者の誕生日だよ?
ムカつく・・・なに清光に夢中になってんの?
「そんな清光、好き?」
「最高。」
こいつの近侍は常に、清光だ。
「ゲームの世界から飛び出した清光は?」
「それ最高!絶対、私が主なる。」
いや、ここにいるじゃん。
「俺の主は、あんただけだよ?だから、ちゃーんと愛してね?」
「どうしたの?急に。」
俺に構えよ。
携帯、置けや。
2次元の清光に夢中なってんな。
お前のこと抱けるのは、俺だけなんだけど。
画面の中にいる清光は、お前のこと抱いてくれんの?
「あのさー、いいかげんゲームやめてくんない?」
「なんで?」
「お前が構って欲しいって言ったら、俺やめるじゃん。」
いちゃつきたいんだけど。
せっかくの誕生日なんだからさ、プレゼント頂戴よ。
俺、お前が欲しい。
「流司さん、構って欲しいの?」
「もういい。」
誕生日なのに、なんで俺からお願いしなきゃいけないわけ?
一切、俺の方、向かねぇし。
俺より、清光が好きなんでしょ?
勝手にすればいいじゃん。
「拗ねた?」
だから・・・俺の方、見てよ。
なんで、ゲームばっか見てんの。
俺と話してんのにさ・・・。
「はい、拗ねないの!可愛いけど・・・。」
最後、なんかぼそって聞こえたぞ。
「これ、あげるから。」
そう言って、目の前に細長い箱を差し出してきた。
「なに?」
「誕生日、おめでと!大好きだよ。」
可愛く笑って、頬にキスをしてくれる。
「忘れてたんじゃないの?」
「忘れるわけないじゃん。流司さんの反応が可愛過ぎたから、つい・・・。」
「つい、じゃねぇよ、バカ・・・。」
赤いリボンで包装された箱を受け取り、開けていいか確認すると、うん、と答えてくれる。
赤い薔薇のチャームが着いたネックレスが、箱の中に収まっていた。
「ありがと・・・女が着けそうなもんだけど・・・。」
「気にしない!絶対、似合うから!」
チャームがそんなに大きくないから、目立たないとは思うけど・・・。