【S】Moebius Ring~目覚めたら執事!?~
第19章 回帰
映像
音声
感覚
膨大な量のすべてが一緒くたに俺を覆いつくして
すべてを
塞いで
「か…ッ、ハッ…クッ、コホッ!…は…」
息
が
くる
し…っ
目の前が急速に白で染まっていく
光と闇
同時に襲われるような
そして
『翔――!早く早くっ!』
『危ないですよ、美月お嬢様…』
『もーっ、せっかくのデートなんだから!急いでっ?ホラッ』
『あっ。…まったく。困ったお人だ』
『ふふふっ』
愛おしいその屈託のない笑顔に、思わず微笑んでしまう自分。
なんだ、これ…。
あるはずのない断片が
記憶のピースが
次々湧き出ては
飛び散っていく
白のキャンバスに
次から次へと
はまっていく
戻って、いく…
「――――…」
ドサッ
「櫻井ッ!?やだ、しっかりしてっ!ちょっ…誰かッ!誰か来て―――…」
美羽の悲鳴のような声を聞きながら、俺の意識は薄れていき
異様な眠気に似た何かに
容赦なく飲み込まれていった…。
2014/11/24