第17章 〜記憶の中の彼女〜
『法王、學峯…、忌み子の力は制御できていますか?』
『もちろんです。女神カラナ…。彼女は私の支配下にあります。』
『ならばよいのですが…。人間である彼女が、女神の力を制御できなければ、それはやがて災いの火種となります。
そうなれば、彼女も粛清しなければなりません。』
『分かっています。女神カラナ。』
……まぁの力は、日に日に強まっている。
一刻も早く次の手を打たなければ…。
ーー20年前(學峯回想シーン)ーー
法王の座に登りつめた私は、一人黙々と膨大な資料を読み漁る。
『あなたが新しい法王?』
どこからともなく現れた彼女は、まばゆい光に満ち、微笑んでいる。
『女神カラナ…何のご用でしょうか?あなたは、儀式以外、姿を現わす事は禁じられているはずでしょう?』
『固い事言わないでよ〜?精霊界でも置物みたいな存在だし、すごく退屈なのよ!ねぇ、私の友達になって!』
それから彼女は、事あるごとに私の前に姿を現わした。
『ねぇ、學峯、人間界には、面白いものがたくさんあるのね!
私はね、もっともっと人間たちと仲良くなる!
精霊と人間…垣根のない世界を作りたいの!』
『うっわぁー!!!』
ドンガラガッシャーン!!?
『痛タタタタ…。』
『何故精霊のあなたが転ぶのです…?』
『そこの本棚の角に足をぶつけちゃったのよ…』
ーー16年前ーー
『ねぇ、學峯、私、好きな人ができたの!人間よ!彼も、私を本当に愛してくれてるの!』
『學峯!あなた子供が産まれるの?!私にもね、今大切な命がここにあるの…!
あなたの子供と同じ歳ね!きっと兄弟みたいに育つわ!
』
ーー翌年ーー
オギャー!オギャー!オギャー!
『學峯!泣いてるわよ〜!あなたに似て、ハンサムな男の子ね!』
それから2カ月後……。
『法王…!ご報告がございます!』
『どうしましたか?』
『女神カラナが、禁忌の罪を犯し、粛清される事が決まりました。』
………。