第5章 かれしかのじょ
『おう・・・あー・・・いや、ちょっと待て』
「へ?」
『っ・・・ほんと、お前・・・ガキだよな』
「えぇ?!な、なんですか、いきなり!」
おやすみの挨拶をして切ろうとしたのになぜか宗介さんに引き止められて。急に何か言いづらそうな声になったと思ったら、宗介さんはとっても失礼なことを言い出して。自分でたった今考えていただけに、余計に腹が立ってしまう。
『お前、ガキだから・・・今日だけ特別、だからな・・・もう言わねえ』
「も、もう!ガキガキ言わないで下さい!ほんっと、宗介さんって失礼・・・」
『ヒカリ・・・お前が好きだ。俺と付き合ってほしい』
「ふぇ・・・あ・・・え・・・う・・・」
『・・・返事は?』
「は、はいっ!!!!!」
さっき反省したことなんかどっかへ行ってしまって、とびっきり大きい声を出してしまった。
でも・・・こんなの大きい声出すなって方が無理だと思う。だって・・・だって、また宗介さんが『好き』って・・・・・・
『・・・っあー・・・やっぱお前、声でけえ。耳痛え。風呂入る・・・切る、おやすみ』
「お、おやすみなさ・・・あ、あれ?宗介さん?」
早口で言うと、私の返事も待たずに宗介さんは電話を切ってしまった。声だけだったけれど、その声に照れくささが滲んでいるのがはっきりとわかった。
「私も・・・宗介さんが好きです。ふふふ」
誰もいない電話に向かってそう言った後、思い切りベッドに身を沈める。
・・・宗介さん、今どんな顔してるのかな?
やっぱり眠気なんてどこかへ飛んで行ってしまったけど、そんなことはどうでもよくって。幸せな気持ちと宗介さんがだいすきな気持ちといっしょに、枕をぎゅーっと抱きしめた。