第2章 ◆Dear◆(妹サイド)
「…ねえ、姉様」
「うん?」
「櫻井、戻ってくるかな…」
「…どうして?」
「だって。アイツ、姉様のこと…」
「美羽」
「…」
「…」
姉様は言葉を遮ったけど
だってそれは本当のことだもの。私が一番よく知ってる。
誰よりも一番近くで、2人のことをずっと見ていたんだから。
「翔はプロの執事よ?そんな無責任なことしないわよ」
「でも、姉様の妊娠を知ったら、絶っ対ショック受ける。もう帰ってこないよ…」
「そんなこと…。大体、彼は知らないでしょ。海外に行ってるんだし。休暇中は一切連絡を取らないって約束してるんでしょ?お父様」
「そうかも知れないけどぉ…。でも半年もだよ?戻ってきたらもう生まれてるかもしれないじゃない!」
「まだ生まれないわよ(笑)」
…笑ってる。
姉様は、平気なの?これで良かったの?
そんなよく知らない相手と結婚ってだけでも、私には耐えられないって思う。なのに、さらにその人の子供まで…