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第16章 たまゆら by のさまじょ&millie
確かに潤の気配を感じたあの日。
俺は感じた気配に問いかけた。
「いるんだよね?そこに…」
虚空を見上げる俺を包む気配。
「潤!潤!そこにいるんでしょ?ねえ、お願い…そこに連れてってよ…」
潤の声が聞こえる…。
『ダメだよ、それは出来ない』
悲しそうな目の潤が首を振る。
周りの木が合わせてその葉を鳴らす。
「じゃあ、俺が…行く!そこに行く!」
より一層大きく揺れる葉。
「潤…逢いたいよ、潤が隣にいないと…俺、ダメなんだよ」
泣く俺を温かいものが包む。
潤に抱き締められているみたいだった。
その気配はやがてなくなり…俺は独りになる。
オレンジが俺たちを染めた日から俺の世界は色を失った。
モノクロの世界。
唯一視えるのは…あの日のオレンジ…。
あのあと何度もその場を訪ねたが次に潤と逢えたのは丁度1年後だった…。
1年に1度、潤と逢うために俺はからっぽのまま、モノクロの街を歩く。
そのためだけに俺はこの世界に縛られる。
「潤…待ってて今、行くから」
そう呟いて今年も潤の眠る場所に脚を向ける。
今度こそ潤が連れていってくれるのを願いながら…。