第10章 御主人契約 by アロエリーナ

「じゃあこっちの、背の高い人で‥」


あ。つい流れで‥どーすんだオレ‥


うっかり指名してしまった彼は
にこやかに微笑んだ。


「松本潤です。よろしくお願いします」


超カッコイイし、優しそう。

友達にするなら、イイかも‥



こうしてオレは、携帯を購入するみたいに

人間を契約し、お持ち帰りしてしまった。



店からの帰り道。

すれ違う人々が振り返り、こちらを見る。


「ねぇあの二人、めっちゃカッコイイ！」

「モデルかなー。写真とりたい」


うぅ‥目立って恥ずかしい。


隣にいる派手な容姿の彼は、
慣れているのか気にも止めない。


まいったなぁ‥これから毎日、一日中
二年間もベッタリ一緒なんて。


櫻井の説明によると、契約したパートナーは
憲法第三章に違反しない範囲で
ユーザー‥主人に従う。


新規キャンペーンだったそうで、契約料と
2年間の月額利用料が、半額になった。


でも、条件があって‥


24時間ツキホーダイのプランAと

2年毎の自動更新に設定すること。


――いわゆる“2年縛り”ってヤツ。


途中解約すると、
多額の違約金が発生する。