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第24章 まほろばの家 byアロエリーナ・のさまじょ・millie
立ち上る煙を見上げてる。
それは和也が旅立っていった証拠。
俺の視界に常にあった黒い影は消えた。
互いの気持ちが交わってから1年。
和也は懸命に生きた。
生き抜いた果てに…俺に希望を遺して旅立った。
和也が病院にいた頃から俺の視界に映るようになった黒い影。
医師を続けるには大きな障害。
それもあって俺は和也と生きる道を選んだ。
俺の眼のことを知っていた和也は遺言を残していた。
自分の死後、角膜を俺に提供する。
そして多くの人を救って欲しい。
新しい世界を見て欲しいと…。
遺言に従って、俺の眼に和也の角膜が移植された。
和也との永遠の別れは共に生きるスタートになった。
俺の希望で葬儀は術後に行った。
立ち上る煙を見ながら和也に言う。
「和也?見える?和也が俺の眼にいるね?
だから俺は泣かないよ?
これからも一緒に生きよう…」
移植した角膜は驚くほどの適応をみせた。
そして半年後、俺は病院に戻った。
あれから休みになると旅に出た。
和也の眼にカラフルな世界を見せるため…。
「和也、愛してる」
呟く俺の耳に「愛してる」という和也の声が聴こえた。
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