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第24章 まほろばの家 byアロエリーナ・のさまじょ・millie
和也の温かさが、今も手に残ってる。
空を見上げると、和也が天に昇って行くところだった。
煙突の先を見つめる。
吐き出した紫煙を、目で追うと俺は微笑んだ。
和也…
俺の初恋の人。
…そして、最愛の人。
初めて結ばれて、1年。
和也は生きた。
精一杯の命の煌きを、俺はすぐ傍で見届けた。
”ありがとう…愛してる…”
最期の言葉。
静謐の中で、和也の激流のような愛だけが俺の中に残った。
”忘れて…忘れないで…”
泣きながら譫言を言う日もあった。
”もう出て行って…行かないで…”
朦朧とした意識の中、俺を求める日もあった。
全て、過ぎ去りし日の思い出。
「和也…」
そこに立つと、愛おしい人の名前を呼んだ。
「今、いくから…」
手すりに足を掛けて昇る。
眼下に広がる、深い谷。
最後に和也と来た場所。
…あの時、決めたんだ。
ここで終わらせるって。
”翔…忘れないで…”
俺、バカだからすぐ忘れるんだ…
だから、今から会いに行くよ
和也、
愛してる…
-END-