第11章 過ぎた日をただ思う
『…っえ……し、たいって…』
「…ダメ?」
鎖骨にキスをして、胸元にもキスを落とした。緩いパジャマのボタンを一つ外して、彼女の心臓に近く、柔らかい少し膨らんだ部分にもキスをした。
『ま、待って、それはまだ早いんじゃないかな…っ』
「…早いって、だいぶ待ったんだから少しくらい許してよ」
柔らかい彼女の胸に顔を埋め、上目遣いで顔色を伺った。
ダメ、と言ってくる彼女は少し焦って、オレの身体を引き剥がそうとしてくる。
「…やーだよ、離れないから」
『っ、ちょ、…ダメ!』
「わかったってば。もう少しこのまま」
『……〜〜っ…』
彼女の心音が、耳元で聞こえてくる。
速すぎて、心配になるくらい鼓動のリズムがいつもとは違った。
(………。)
きっと、逢坂ちゃんは今、オレにものすごくどきどきしてる。
心音から、心情まで伝わってくるようで、なんだかとても満たされた。
「雪ちゃん」
『……え?』
「ずっと、オレの側にいてね」
約束だからね、と付け足すと、彼女はオレの言葉の真意も知らずに、すぐに答えた。
『……うん。ずっと一緒にいるよ』
その言葉を聞いて、オレはほんの少し、自嘲した笑みを浮かべた。
そして、頭の中でこう呟いた。
雪ちゃんの大嘘つき、と