第16章 夢にみるなら
side.A
まつげ、長いなぁ。
気持ち好さそうに眠る顔を見て、そう思った。
顔立ちがキレイだから、真顔だと少し怖いくらい。
でも、こうやってると、そういえば年下なんだなぁってなる。
いつも頑張ってるところ、カッコいいよ。
ホントはオレやメンバーが知らないとこでも頑張ってるんでしょ?
そういうところが自慢だけど。だけど、オレといて力を抜いてくれるのが一番の自慢かも。
こういう顔、他では見せないでって思うんだよ。
百歩譲ってメンバーまでかな。それでも少し妬いちゃうけどさ。
「まつげがバッサバサ……ふふっ」
こんなにキレイで同じ人間かなって不思議。
オレの恋人ってのはもっと不思議。怒るから言わないけど。
ケンカして、バカだからって謝って。けど、すぐ仲直りが出来るから、それが嬉しい。
そう言ったら怒らせちゃうかな?どうだろうね。
本当は、考えてること分かるようになりたいよ。でも、出来ないことってある。
だから今は、ケンカして仲直りするのを繰り返すんだ。いつか、ちゃんとするから。
「いい夢みてね、おやすみ」
どんな夢をみてるんだろうなぁ。
悪い夢じゃないと良いけど、オレの夢だったらそれでもイイ。
そしたら、オレが何とか出来るかもしれないじゃない?
これでもお兄ちゃんだしね。