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小話【気象系BL短編集】

第89章 頬を抓れば、すぐに分かる  参



side.M


キスを、した。慕っている先輩に。
それだけだと思ってたひとに、自ら進んで。

関係は、ほぼ変わっていない。
女装してもらうくらいで、特に何も。
確かに悩んでたし、現在進行形で悩んでるけど。
けど、智さんは告白以来、そういうことを言ってこないし。
ということはオレが変わったってことなのかな?


ううん、違う。恋愛感情は、オレは、持ってない筈だもの。
今までだって、可愛いって思ったりしてたし、世話焼いたりしてたし。

こうなってからだって。
仕事帰りで一緒になったときの別れ際とか、どちらかの家で呑んだときとか。
そういうときにしか、キスしてない。
友情の延長ってことで良いと思ってた。
そう思いたい、と考えていた。



及び腰で、現実も自分のことも直視しようとしない。
そんなオレが、何を導き出せるというんだろう。
自然と、自分だけでは結論が出せないと悟った。

だから、相談することにした。それで友人に同性というのを隠して話してみた。
そうすると惚気だと言われ。別の日にも、同じように言われてしまった。

困りに困ったオレは、知ってる内で一番頼れて頭の良いひとに聞くことにした。

どっかで分かってた。
自分の気持ちが変化してて、それを誤魔化したいんだって。





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