第74章 痛み分け other side
side.A
ずっと、痛かった。
よく分からないけど、他人の痛みをいつも感じていた。
チクチク、ズキズキ。心に傷が増えてくようだった。
仕方ないやって諦めて、やり過ごしてたのに。
あるとき、それがリーダーにバレて。
オレは彼が好きだったので。つい、弱音を吐いちゃった。
本当はいつだってカッコつけたいんだけどね?
限界だったのかもしれない。助けて、と願ったの。
その次の日、痛さが半分くらいに減ってた。
実はそのとき、ほんの少しイヤな予感はしてたんだ。
そして、それは当たっちゃった。
*****
「だいじょうぶ、だから。ね、相葉ちゃん?」
「うん。でも、ここにいるね」
廊下で先を歩いていたリーダーが、壁にもたれてしゃがんだ。
大丈夫だと言う顔は、全くそうとは見えない。
それに、その状態をオレはよく知っていた。
最初の内は、そうなっちゃう。
痛くて痛くて、どうにもならなくなるんだ。
自分のものじゃないのに。
イヤな予感ほど、よく当たるもんだね。
ちょっと楽になったとき、それは最近といえば最近。
見たところ、リーダーはどことなく本調子じゃなかった。
だから、オレの所為だ。
「リーダー、少ししたら楽屋まで頑張ろ?」
「んーん。だいじょうぶ、すぐ戻るから。先に行ってて」
「オレが一緒に行きたいの。だから、お願い?」
こくりと小さく頷いて、リーダーが目を瞑る。
こうやって固まってても、邪魔にさえならなきゃ平気。
仲良いですよねー、とか。流してくれるから助かる。
背中を摩りながら、オレは本気で後悔する。
あのとき願わなければ、こうならなかったと思うんだ。
別に辛くて死にたかった訳じゃなかった。
ただ、ちょっと、アレなだけ。
「ねぇ……おーちゃん、ごめんね」
そう言うと、否定するように頭を撫でられた。
髪の毛がくしゃくしゃになっていくのが分かるのに。
手付きがとても優しくて、泣きそうになった。
リーダーあったかいなぁ、と嬉しさもある。
それなのに、つんと鼻の奥が痛くなっちゃった。
あの日、カッコつけてれば良かった。
そしたら、押し付けることなんて無かった。
いたいなぁ、と思うんだ。大野さんを巻き込んじゃって。
自業自得かな。誰か、そうだと言って。