第73章 痛み分け
side.O
痛くなっちゃうの、と。そう言った顔は辛そうではなくて。
こんなものだと諦めきったようだった。
俺は彼のそんなとこを見てられなくて、見ていたくなくて。
俺にも、その痛みが分かればいい。そう願った。
信じてるか自分でもよく分かっていない、かみさまに。
必死で願って。そうして、叶った。
*****
はぁ、と溜息のようなものが零れ出る。
疲れた、しんどい、きもちわるい、痛い。いたい、と思う。
けど、俺は嬉しくて仕方なかった。
だって彼の空っぽの表情を見ることが減ったから。
彼は気遣いが出来るひとで、いつも笑ってる。
だけども、時たま虚ろになってる。
きっと無意識で、制御出来ずに溢れてしまったもので。
今、思いきり彼が笑うのを見て、俺は幸せだと思うんだ。
それは自惚れや思い上がりで出来てるんだろうけど。
頑張り屋なひとを、少しでも支えられたら良かった。
ううん。俺は相葉ちゃんが好きだから、支えられると思いたかったんだ。
これは、エゴっていうヤツだ。わがままだから、大丈夫。
翔くんに、痩せたんじゃない、と尋ねられて。
ニノは、寝不足が響く年じゃないですか、だって。
松潤は何かあったら言いなよって。
皆には内緒だから、ちゃんと、きっぱり否定した。
相葉ちゃんは、痛みを感じなくなるくらい、痛がってた。
俺は知らずに暢気に、痛くさせていたのかもしれない。
いつも明るく元気に振る舞って。時には、無理してでも。
それでも、いつだって太陽でいてくれた。だから、ちょっと肩代わりしたかった。
綺麗事だと分かってて、けども平気な筈だった。
それなのに、最近、相葉ちゃんが笑ってくれない。
俺を見て、どこか悲しげにわらう。
どうしてか、何だか泣きそうに、わらうんだ。
お前の笑顔を見たくて、頑張ってるつもりなのにね。