第7章 壁、隙間、溝
うるさいから、黙ってよ。そう、思った。
「リーダーに言う?絶対にオレのことまで助けてくれるよ」
「翔ちゃんなら、解決してくれる。松潤はニノを守ってくれるよ。で、誰かに言う?言える?」
オレ、知ってるよ。
他のメンバーを持ち出せば、黙ってくれるって。
心底ありえないって顔で、喋るのやめてくれるって。
だってさぁ、じゃあさ。オレはどうしたら良いの。
好きなひとに好きなひとがいて、オレなんか敵わないんだよ。
きっと、オレの方が先に好きになったのに。
ニノも同じなのに、何で正しくあろうとするんだろう?
好きなひとが笑顔なら、なんて思えないよ。
いっそ泣いててもイイから、オレだけ見ててほしいぐらい。
ニノだって、そうだと思う。少なくとも、オレの知ってるお前はそうだ。
だから、もう、分かんないよ。
どうしてニノがそうやって責めるようなこと言うのか。オレのこと悲しそうに見るのか。
「ニノは、オレと同じじゃん」
首筋に痕がつかない程度に唇を落とす。
これが、あのひとだったらなぁ。なんて考えながらね。
「同じなわけが無いでしょ」
耳が、痛い。でも大丈夫、聞こえない。
どうせすぐにキモチイイってなるんだから、平気に決まってる。
楽しいこと好きでしょ。気持ち好いこと好きでしょう。
終わった後にそう言ったら、また睨まれるんだろうなぁ。
オレと同じなのに、ヘンなの。